靴音

色声機械＊６ボ




あの足音が止まってから、どれくらい経ったんだろう。





靴　音

―――――――


『じゃあまたね』


そう言って、いつもと同じ言葉でいつもと同じ仕草で別れた。

ロボットに囲まれた日常。
金欠な日常。
悲しいくらいにモテない日常。
そして―――

ニコが当たり前に隣りにいた日常。


その日常からニコが消えてた。


その頃はなんだか仕事が忙しくて、ニコがうちに来ない事にさほど気にもしていなかった。
いや、気にする余裕がなかった。

ある日ふとした時に携帯の発信歴を見て、

『ニコ―８月×日PM08:54』
思わず携帯画面上の日付を確認してしまった。

もう半年も前だ。

そんなにもニコと連絡を取っていなかったのかと、今更ながら気がついた。
するとどうしようもなく焦りだした。



今更どうやって連絡していいんだろう。
連絡してもいいんだろうか。
もしかしたら、

俺のことなんて忘れてしまっているかもしれない。



途端、俺の中に虚空が広がりだした。
たった3ヶ月という短い期間だったかもしれない。
でもあれほど充実して濃い三ヶ月は後にも先にもないと思う。

ニコが居たから。


どうすればいいんだろう。


『ロボいるーっ』

あの声と靴音が聞こえる日々が訪れるには。



ねえ、ニコ。
俺のこと憶えてる？