doramaちゃんねる★色声機械メインです
色声機械*62/voice2*その夜
全力疾走
「・・・ロボ、もう寝た?」
差し込む月明りだけのぼんやりと薄暗い部屋。
その部屋の真ん中に並んだ二つの布団の片方に声を掛けた。
暫くして、もそもそと動く音がすると、
「・・・まだ。ニコは寝ないの?」
ロボの少し掠れた声。
「うん・・・」
シーンと静まる部屋。
先に口を開いたのはロボだった。
「ニコはさ、あんな恋愛どうおもう?」
ロボが言う"あんな恋愛"はごぼ蔵の事。
そして明日の朝にはごぼ蔵を警察署へ送届ける。
「凄い・・・よね。」
「うん、凄いよね。ごぼ蔵」
ただ、それしか言えなかった。
すずちゃんに会いたくて、でももう会えなくて。
それでも・・・ ごぼ蔵は全力疾走のごとく一生懸命で。
「私も・・・私もいつか出来るかな。全力疾走する様な恋愛が」
見つめ続けた天井から、隣のロボへと視線を移した。
ロボは私と同じように天井を見つめたまま。
「俺も・・・出来るかな」
「できるよ、きっと。・・・・今回の合コンはダメだったけどさ」
「うっ・・・・一海ちゃぁあ~んっっっ」
がばっと勢いよく布団をかぶり、すすり泣きだした。
私は『ごめん、ごめん。思い出させちゃったね~』なんて言いながらロボの布団を優しく叩いた。
いつか私にも出来るのかな。
全力疾走するような恋愛が。
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