doramaちゃんねる★色声機械メインです
ワタシノココロ
~メール~
~メール~
今日からここが真希ちゃんの家だよ――――
駿河さんの言葉が理解できなかった。
いや、理解は出来たけど、それがあまりにも突然すぎて頭がついていけなかった。
「真希ちゃん?」
黙ったままの私を心配したのか、駿河さんが覗き込むようにしゃがみ込んだ。
「あ・・・ごめんなさい。突然すぎてよく解らなくて」
「ははは、そうだよね。俺だって突然こんな事になったら困るよ」
私を安心させるように駿河さんは、やさしくゆっくりと話し始めた。
「真希ちゃんが入院中に、今回の事件のことを知ったとある人物が是非とも援助をしたいと申し出たんだ。
その人は、真希ちゃんがこれから先、生活していく上で困らないようにと一定の援助をしてくれると言っている。
そして、この場所を真希ちゃんの新しい家として使ってくれていいと提供してくれた」
「ここを?」
この今居る部屋・・・リビングダイニングも大袈裟な話、パーティが出来るんじゃないかってくらい広い。
それにリビングから通じる扉が2つはある。
一人で生活するには広すぎるくらい。
「なんで・・・私なんかに」
正直どう答えていいのか解らない。
現に私は頼れる人の当てもない。
だからといって、この話に甘えていいのかすら解らない。
黙ったままでいると、駿河さんが私の手を包み込むように握りしめた。そして、
「真希ちゃんは頑張ったから、それを神様がご褒美をくれたんだよ」
その言葉に駿河さんの顔を見た。
あの日、あの時。
沢山泣いたから、我慢してきた。
だけど駿河さんの優しい言葉と笑顔に涙が溢れそうになった。
私はそれをぐっと我慢して、
「本当に甘えても・・・いいんですか? お父さんも九条さんも居ない今、私には頼れるところがないから」
最後の方はもしかしたら聞き取りできないくらいの小声になっていた。
俯いた私の肩をポンと叩くと、
「君は、誰よりも頑張ったから甘えていいんだ・・・・真希ちゃん」
私はその駿河さんの言葉を素直に受け取ることにした――――
でも気になることがひとつ。
「あの、駿河さん。私、その人にお礼が言いたいんです」
「え゛っ・・・」
一瞬駿河さんの表情が固まった気がした。
だけど、すぐに。
「いや、そのね・・・・直接は無理かなぁ」
「無理・・・何ですか?」
「うん、無理。絶対無理だよ」
「絶対ですか」
「絶対!! ・・・そう、凄く偏屈な爺さんなんだよ。外に一歩も出歩かないんだ」
「・・・・そうなんですか」
こんな素敵なお家に住まわせてくれるだけでなく、援助までしてくれるのに。
直接お礼が言えないなんて・・・・
「じゃあ、メールでお礼を言ったらどうだい?」
あまりにも落胆していた私に駿河さんが言い出した。
「外に出ない代わりに彼は毎日パソコンをやっているんだよ。だから真希ちゃんのメールもすぐに気がついてくれる。お礼はメール・・・それじゃあ、駄目かな?」
私はブンブンと勢いよく頭を振った。
「それでも嬉しいですっっ」
私は駿河さんが帰った後、お家の中をぐるっと見て回った。
駿河さんに、入ってきた扉からこの部屋まで通じる廊下の扉は決して開けてはいけないと言われた。
だけど、この一番奥の部屋は好きに使っていいとのことだった。
一番最初に通されたリビング。
それから一つめの扉を開けると、リビングよりは狭いけど、それでもかなりの広さの寝室。
そしてもう一つの扉。
それを開けると廊下。
突き当たりはバスルーム。その隣にトイレ。
それからもう一つ、ベッドがあるお部屋。・・・ゲストルームかな。
「一人で住むには広すぎるよ・・・」
テディベアに話しかけながら、リビングへと戻った。
そして私はその片隅に設置されたパソコンへと向かった。
駿河さんに教えて貰ったアドレスを間違えないように入力していく。
なんて書けばいいのかな・・・
メール作成画面を睨むように見つめた。
「“はじめまして、二階堂真希です”だよね、最初は。・・・それから」
カタカタと広いリビングにキーを打つ音が響く。
大人から見れば拙い文章かもしれないけど、一生懸命に感謝の気持ちを詰め込んで。
出来上がったメールを間違っている箇所はないか1度目を通して、それから“送信”をクリックした。
それから暫くして、メール受信のお知らせが鳴った。
私はドキドキと高鳴る胸を押さえて、メールを開いた。
“初めまして、真希さん。そして、大変丁寧なメールをありがとうございます。
貴女が私に会いたいと申していたことを駿河より聞きました。ですが、私にはそれが出来ません。
しかし、貴女からの感謝の気持ちが籠もったメールは大変嬉しく感じました。
そこでお願いがあります。時々私にメールを送ってくれないでしょうか?
そんな難しく考えなくても良いのです。只、その日あったことや他愛もない内容でいいのです。
それではお待ちしております”
と、メールは終わっていた。
私はメールを読んですぐに返事を打った。
“今晩和、早速のお返事ありがとうございます。メールのこと、喜んで送らせてもらいます。
それで一つだけ教えてください。駿河さんに聞き忘れたのですが、お名前を教えてください。
今更失礼ですね・・・・”
“紹介が遅れました。私の名前は『竜崎』と申します。”
「りゅうざき・・・。って勿論名字だよね?」
私はそのメールを指でなぞりながら、
「竜崎さん? 竜崎・・・ 竜崎のおじ様?」
わたしはまたメールを送った。
“今日からよろしくお願いします。そして、おやすみなさい。竜崎のおじ様”
駿河さんの言葉が理解できなかった。
いや、理解は出来たけど、それがあまりにも突然すぎて頭がついていけなかった。
「真希ちゃん?」
黙ったままの私を心配したのか、駿河さんが覗き込むようにしゃがみ込んだ。
「あ・・・ごめんなさい。突然すぎてよく解らなくて」
「ははは、そうだよね。俺だって突然こんな事になったら困るよ」
私を安心させるように駿河さんは、やさしくゆっくりと話し始めた。
「真希ちゃんが入院中に、今回の事件のことを知ったとある人物が是非とも援助をしたいと申し出たんだ。
その人は、真希ちゃんがこれから先、生活していく上で困らないようにと一定の援助をしてくれると言っている。
そして、この場所を真希ちゃんの新しい家として使ってくれていいと提供してくれた」
「ここを?」
この今居る部屋・・・リビングダイニングも大袈裟な話、パーティが出来るんじゃないかってくらい広い。
それにリビングから通じる扉が2つはある。
一人で生活するには広すぎるくらい。
「なんで・・・私なんかに」
正直どう答えていいのか解らない。
現に私は頼れる人の当てもない。
だからといって、この話に甘えていいのかすら解らない。
黙ったままでいると、駿河さんが私の手を包み込むように握りしめた。そして、
「真希ちゃんは頑張ったから、それを神様がご褒美をくれたんだよ」
その言葉に駿河さんの顔を見た。
あの日、あの時。
沢山泣いたから、我慢してきた。
だけど駿河さんの優しい言葉と笑顔に涙が溢れそうになった。
私はそれをぐっと我慢して、
「本当に甘えても・・・いいんですか? お父さんも九条さんも居ない今、私には頼れるところがないから」
最後の方はもしかしたら聞き取りできないくらいの小声になっていた。
俯いた私の肩をポンと叩くと、
「君は、誰よりも頑張ったから甘えていいんだ・・・・真希ちゃん」
私はその駿河さんの言葉を素直に受け取ることにした――――
でも気になることがひとつ。
「あの、駿河さん。私、その人にお礼が言いたいんです」
「え゛っ・・・」
一瞬駿河さんの表情が固まった気がした。
だけど、すぐに。
「いや、そのね・・・・直接は無理かなぁ」
「無理・・・何ですか?」
「うん、無理。絶対無理だよ」
「絶対ですか」
「絶対!! ・・・そう、凄く偏屈な爺さんなんだよ。外に一歩も出歩かないんだ」
「・・・・そうなんですか」
こんな素敵なお家に住まわせてくれるだけでなく、援助までしてくれるのに。
直接お礼が言えないなんて・・・・
「じゃあ、メールでお礼を言ったらどうだい?」
あまりにも落胆していた私に駿河さんが言い出した。
「外に出ない代わりに彼は毎日パソコンをやっているんだよ。だから真希ちゃんのメールもすぐに気がついてくれる。お礼はメール・・・それじゃあ、駄目かな?」
私はブンブンと勢いよく頭を振った。
「それでも嬉しいですっっ」
私は駿河さんが帰った後、お家の中をぐるっと見て回った。
駿河さんに、入ってきた扉からこの部屋まで通じる廊下の扉は決して開けてはいけないと言われた。
だけど、この一番奥の部屋は好きに使っていいとのことだった。
一番最初に通されたリビング。
それから一つめの扉を開けると、リビングよりは狭いけど、それでもかなりの広さの寝室。
そしてもう一つの扉。
それを開けると廊下。
突き当たりはバスルーム。その隣にトイレ。
それからもう一つ、ベッドがあるお部屋。・・・ゲストルームかな。
「一人で住むには広すぎるよ・・・」
テディベアに話しかけながら、リビングへと戻った。
そして私はその片隅に設置されたパソコンへと向かった。
駿河さんに教えて貰ったアドレスを間違えないように入力していく。
なんて書けばいいのかな・・・
メール作成画面を睨むように見つめた。
「“はじめまして、二階堂真希です”だよね、最初は。・・・それから」
カタカタと広いリビングにキーを打つ音が響く。
大人から見れば拙い文章かもしれないけど、一生懸命に感謝の気持ちを詰め込んで。
出来上がったメールを間違っている箇所はないか1度目を通して、それから“送信”をクリックした。
それから暫くして、メール受信のお知らせが鳴った。
私はドキドキと高鳴る胸を押さえて、メールを開いた。
“初めまして、真希さん。そして、大変丁寧なメールをありがとうございます。
貴女が私に会いたいと申していたことを駿河より聞きました。ですが、私にはそれが出来ません。
しかし、貴女からの感謝の気持ちが籠もったメールは大変嬉しく感じました。
そこでお願いがあります。時々私にメールを送ってくれないでしょうか?
そんな難しく考えなくても良いのです。只、その日あったことや他愛もない内容でいいのです。
それではお待ちしております”
と、メールは終わっていた。
私はメールを読んですぐに返事を打った。
“今晩和、早速のお返事ありがとうございます。メールのこと、喜んで送らせてもらいます。
それで一つだけ教えてください。駿河さんに聞き忘れたのですが、お名前を教えてください。
今更失礼ですね・・・・”
“紹介が遅れました。私の名前は『竜崎』と申します。”
「りゅうざき・・・。って勿論名字だよね?」
私はそのメールを指でなぞりながら、
「竜崎さん? 竜崎・・・ 竜崎のおじ様?」
わたしはまたメールを送った。
“今日からよろしくお願いします。そして、おやすみなさい。竜崎のおじ様”
*To be continued*
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