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yasukoとkenzi*ALL


幸福的日常茶飯事



「あ゛ー、なんだと。このアマッッ」
「うっさいっつってんだろ、沖ケンジっ」


家中所か、ご近所中に響き渡りそうな怒声。
これが毎日毎日の事だから、すでに日常と化していた。
最初の頃は流石に心配になったご近所の奥さんが電話をしてきたり、覗きに来たりとしていたけど。
お兄ちゃんの怒鳴り声は結婚する前からのことだから。
やっぱりみんな慣れちゃうらしい。

そんなこんなで、今朝の喧嘩の原因の朝食が並べられた卓袱台には私とモス。
それからアジダスと昨日から泊まっていたカオリさんの4人だけ。

「・・・止めなくてイイんすか? ヤスコさん」
未だに続いている喧嘩にカオリさんが聞いてきた。
「あ~。いいの、いいの。毎日のことだから。――――それより、朝ご飯食べちゃいましょ。ねっ」
私は箸を手にすると両手を合わせた。
残りの三人も『そうっすね』と一緒にいただきますをした。
だけど。

「・・・・こ、これ何すかね」
モスが卓袱台に並んだ朝食のおかずを摘んで尋ねた。
「・・・・・さぁ?何すかね」
モスの箸には為体の知れない黒い固まり。
そしてお椀の中にはこれまた正体不明の黒いドロドロした液体。
唯一まともな物は電子釜がしっかりと炊いてくれる白米。
それからおばさんに頂いたお漬け物。
「今日も喧嘩の原因はこれっすか」
アジダスが溜息混じりに呟いた。
庭を挟んだ反対側の部屋では相も変わらず怒声が響いていた。
「エリカさんには申し訳ないっすけど、俺たちの身体持ちませんよ。毎日こんなんじゃ」
モスがご飯にお漬け物をのせて寂しそうに食べ出した。
「毎日なんすかっ!?」
元総長の作った食事を食べるべきか、食べないべきか悩んでいたカオリさんが驚いた。
「ん、毎日。だからうちの総長とあんなんなんだよ」
アジダスがカオリさんのご飯の上に沢庵を乗せながら言った。
「・・・エリカさんには申し訳ないけど、これはちょっと頂けないっす」
カオリさんが勢いよく頭を下げるとほぼ同時に、

「姉さん、まだ上達してないんだ」
「椿くんっvv」

「皆さん、おはようございます」
制服姿で現れた椿くんはそれから『おはよう、沖さん』と私だけに微笑んでから座った。
「今、コーヒー持ってくるね」
「ありがとう」


椿くん以外は白飯に漬け物という、シンプルな朝食を済ませた。
食べ終わって食後のお茶を飲んでいると、
「ごめんね、沖さんにモスさんにアジダスさん。毎朝こんな食事で」
「えっ、なんで謝るのっ」
「なんだか皆さんに申し訳なくて」
そう言って椿くんはまだ喧嘩しているお兄ちゃんたちの部屋へと顔を向けた。
「そんふうに思わないで。エリカさんには感謝してるんだから」
私の言葉に椿くんは不思議そうにした。
持っていたお茶碗と箸を置くと、
「受験生だからって家事の全て任せてイイっていってくれたり。それにお兄ちゃんには相談できない事とか話せるし。お姉さんが出来て本当に嬉しいの」
「・・・・そう言ってもらえると安心したよ」
椿くんは微笑んだ。
「ヤスコさん、小僧。そろそろ学校行く時間ですよ」
モスが私たちを急かすように、目覚まし時計を突きつけた。
時計は既に8時30分前。
私は慌てて鞄を取ると、椿くんの手を掴んだ。

「お兄ちゃん、エリカさん。いってきまーすっっ!!」

家中にはおろかご近所に聞こえるかのごとく、大きい声で言った。
そして私たちは急いで学校へ向かった。



周りから見れば変わっているかもしれない、私の家族。
でも・・・・

それが幸福。
幸せと言うこと。

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