doramaちゃんねる★色声機械メインです
L c/h/a/n/g/e t/h/e W/o/r/L/d L×真/希
For you・・・
PHOTOby*RainDrop http://momo.raindrop.jp/
※少しネタバレ。あと嘘くさい関西弁は許してください・・・
"また会いましょう"
あれは最後の嘘。
だけどあの時。心の片隅で竜崎の言葉を信じていた。
ううん、違う。
――――信じたかった。
また会えると…
退院後、竜崎や駿河さんの薦めで高橋夫妻の養子に入った。
2人は本当の娘のように…殺されたお父さん以上にたくさん愛してくれている。
そして駿河さんは時々連絡をくれる。
FBIをクビになった後、竜崎に紹介された仕事(どんな仕事かは内緒らしく知らない)が忙しいらしく連絡…と言うか愚痴に近い内容ばかり。
『まだ、竜崎の子守の方が楽だよ』
が口癖になっている。
そして―――――
竜崎があれからどうしたかを知った…
あれから数年。
私は今アメリカにいる。
事件後、再びウイルス研究の第一人者に返り咲いたお父さん(高橋)はアメリカの国際研究所に呼ばれた。
特に断る理由もなく、私の高校卒業と同時に一家3人渡米した。
私はこっちの大学に入り、友達も出来、生活にもなれてきたある日。
見慣れない携帯番号から着信があった。
「…誰やろ?」
一瞬躊躇したけど、通話ボタンを押した。
すると、
『HELLO!―――真希ちゃん?』
聞こえてきた声は聞き覚えがあった。
「駿河さんっ!?」
思わず大声になってしまった。
「ど、どないしたん? ってゆうか何でこの番号知ってるん?」
渡米して以来の久々に聞いた懐かしい声に感極まってしまう。
『番号は高橋教授から聞いたんだよ。真希ちゃん相変わらず元気そうだね』
「駿河さんも元気そうやん」
『まぁね…体は元気だよ』
少し皮肉めいた言い方に笑ってしまう。
『笑い事じゃないって。…もう毎日まい――――ってまた愚痴ってしまうところだったよ』
慌てて喋り掛けた愚痴をやめた。
仕事、大変なんだろうなぁ…
なんてしみじみ感じてしまう。
そんな事考えていたら、
『真希ちゃん、君に渡したいものがあるんだ』
駿河さんは突然まじめな声で言った。
「えっ?なんやねん」
って聞き返すと電話向こうで一瞬躊躇するような無言。
そして…
『――――Lが、竜崎が君に残したものなんだ』
どくんっ
その名前を聞いた途端に心臓が締め付けられた。
「へ、へぇ、そうなん?」
自分でも解るくらい声が震えた。
いつも御守り代わりに持ち歩いている竜崎のサインボールをバック越しに触る。
勇気が欲しいとき、
一人寂しいとき、
何か良いことがあったとき、
そのサインボールは私の大切なお守り。
そして、今は・・・・・
竜崎の形見。
『真希ちゃん?』
黙ったままの私を気遣うように優しい声色で呼びかける。
「あ・・・大丈夫。久々に聞いた名前だったから驚いただけ」
『・・・・・。今、君のうちの近くの町にまで来て居るんだ。だからこの機会にと思ったんだけど』
駿河さんは世界中を飛び回っているらしく、なかなか会うことはない。
現に最後にあったのも・・・5年も前。
「そうなん? 駿河さんこっち来てはるのか~・・・」
久々に会いたい。
だけど・・・・
でも・・・・
「駿河さん、私―――――」
学校から帰り、日当たりの良いテラスで紅茶を飲む。
これがいつもの日課。
普段通りにしていると、家の前に勢いよく車が停まる。
そして、降りてきたのは、
「駿河さんっっ!!」
「真希ちゃっんっ」
スーツ姿の駿河さんがブンブン手を振ってきた。
「いや~、すっかり大人っぽくなったね」
「・・・・駿河さん、ジジくさいで」
シンミリとする駿河さんにツッコミを入れると、『ははは』と引き攣った顔をした。
こっち座ったらと勧め、駿河さんの前にアイスコーヒーを出した。
「ガムシロ入れる?」
「いや、ブラックで」
そう言って一口飲んだ、駿河さんは今度は真面目な顔で私を見た。
「・・・・真希ちゃん、さっきの事だけど。受け取るかい?」
ティーカップを持つ手がピクリと震えた。
カップから駿河さんへとゆっくりと顔を向ける。
「・・・まだ気持ちの整理がつかないなら、俺が責任を持って預かっておく事は約束するよ」
そう言った駿河さんは優しく微笑んだ。
だけど、
「大丈夫・・・貰うわ、それ」
少し震えた。
一言ひとこと、確認するように。
駿河さんはコクリと小さく頷くと、持ってきたアタッシュケースを開けた。
そして小さな箱を取り出す。そのまま私の正面に置いた。
「・・・・」
無言でそれを見つめる私。
箱自体は真っ白。だけどそれは金属のような材質っぽい。
「・・・・どう、あけたらええの?」
正直、それが第一の感想。
だって・・・どう見てもただのハコ。
しかも凹凸が一つもない。
「あぁ、えっとこれはね・・・」
駿河さんは箱を手にすると、『何処だったかな~』と眉間に皺を寄せて箱を回した。
そして『あ~ここ、ここ』と言うと箱の一部をスライドさせた。
「じゃあここに人差し指当ててくれるかい?」
言われたままに人差し指を箱の側面、ほんの一部スライドさせ現れた黒い部分に当てる。
途端、その箱から小さな起動音が響いた。
・・・ば、爆発しないよね!?
ドキドキしたまま見つめると、箱は“カシャン”と音を立ててふたつに割れた。
「真希ちゃんの指紋が鍵になってるだよ」
と駿河さんは開いた箱を私の前に出す。その開いた箱をそーっと見る。
駿河さん自身も初めて開いた箱の中身に興味津々だったらしく一緒に覗き込んできた。
「・・・・ボールやんか」
「ボールだな・・・」
中には野球ボールが一つ。
もしかして・・・今度は本物のサインボールとか。
なんて思いつつ手にする。
クルクルとボールを回してサインを探した。
そしてマジックで殴り書きに近いものを見た瞬間、私は動けなかった。
「真希ちゃん?」
駿河さんが立ち上がり、私の後ろに回る。
そしてソレを見た駿河さんも黙ってしまった。
『寂しくないですか?』
―――――――ただ、それだけ。
それだけ。
でも、それだけでも私は嬉しかった。
涙がぼろぼろ溢れても、拭うことすら忘れたまま。
その竜崎のボールを見つめて。
大丈夫だよ。
心配しないで。
私、いっぱい幸せ貰っているよ。
だから、寂しくないよ。
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