Ｐａｎｄａ

ｾ/ｸ/ﾛ/ﾎﾞ＊ロボ／ニコ


Ｐ ａ ｎ ｄ ａ

「ロボ、いるーっ？」 


日が沈みかけて、辺りが真っ赤に染まる時刻。
いつも通りの呼掛けで部屋のドアを開けた。 

『おかえり～』 

っていつもなら迎えてくれるロボ。
だけど、今日はしんっと静まり返っている。
珍しくマックスロボの音もない。
ただ、カチャカチャってキーボードの音だけ。

「？」

不思議に感じたけど、気にせず部屋に上がる。
すると、いつものテーブルの上にはマックスロボフィギュア…じゃなくってノートパソコンがあった。 
常にキーボードを打つ手、時々書類を見る為に動く頭。
それはまるで私の知らないロボの姿。 

「なんか…ロボが普通の人っぽい」

私が部屋に入った事に気付いたロボが、
「あ、ニコ。おかえり…ごめん、今手が離せないんだ」
顔はモニターに向いたまま。
少し寂しい気持ちになったけど、仕事みたいだから仕方ないよね。
「ロボ、コーヒー煎れるね」
「ありがとう」


コポコポと音を立ててコーヒーが落ちる。部屋中にいい匂いが広がる。
時々チラッと覗き見るようにロボに目をやると、ブツブツ喋っては書類を手にしたりしてる。
なんかドキドキする。
普段とまったく違うロボに。

「はい、ロボ。熱いからね」
コトリと邪魔にならない場所にカップを置いた。
「ん～…」
カップを取ろうとモニターから顔を上げたロボを見て唖然とした。

「な、な、なにその顔はっ！？」

ロボの目の下にはクッキリハッキリと真っ黒い隈。
眉墨でも塗りたくったのか聞きたくなるくらい。
「…もう二日も寝てない」
ゲッソリとした顔でぼやくロボ。
「決算なんて嫌いだ…」
そう言いつつも再び仕事を始め出した。


じぃーっと横顔を見つめていると、顔はモニターに向いたまま。
「な、なに？」
って聞いてきた。だから思わず言っちゃった。


「ロボ、パンダみたい」