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セ/ク/ロ/ボ*ロボ/ニコ


花吹雪

"花見行かない?"

もう寝ようかなと、ベッドに潜り込んだ真夜中。
メール受信の着メロがなった。
受信フォルダを開くとロボからのメール。
なにも慌てる必要がないのに急いで返信した。

"明日ならヒマだからいいよ" 

絵文字もない可愛くないメール。暫くして、ロボからの返信。

"違うよ。今から行こうよ!" 



花吹雪 




パジャマから服に着替えて、コートを手にして音を立てないようにそっと外へ出る。
すると、ロボが玄関先に立っていた。
「ごめん、待たせちゃった?」
「そんなに待ってないよ~」
ってロボは笑った。そして手を伸ばして私の手をにぎった。
「うわっ、ニコの手温かいね~…眠いの?」
「赤ちゃんと一緒にしないでよねっ」
って少しむくれてみれば、ロボは『ごめん』って笑う。

深夜のそんなやり取りが秘密めいててくすぐったい。

「花見って何処行くの?」
「この近くの公園。桜並木綺麗なんだよね~」 
「知ってる。夜桜は見たこと無いけど」
「そうなんだ、すごく綺麗だよ」
私の歩調に合わせるようにロボはゆっくり歩き出した。


満開より少し早いけど、綺麗に咲き乱れている桜。
真夜中なだけあって、誰もいない。
私とロボで2人占め。なんだか豪華な感じ。
暫くロボと手を繋いで、黙ったまま歩いた。時々ロボを見上げると、優しく笑いかけてくれる。
「ニコ、なんか飲む?」
「うん、いるー」
「じゃあ、あのベンチで待っててよ」
ロボに言われて、ちょっと先にあるベンチに座る。


暫くしてロボが缶を二つ持って歩いて来た。
「ロボ~」
早く早くと急かす様に手を振る。すると、突然。


ビュウッ


と、突風が吹いた。途端桜の花びらが一斉に舞い上がる。

その花吹雪の中にロボが立ち止まる。
ヒラヒラ舞う花びらが月明りと、街灯の光に白く浮かび上がる。
それが余りにも非現実的で…

だから、それが私の胸を締め付けた。
ヒラヒラ舞う花びらの中、
ロボが、
ロボが、
消えてしまいそうで――――――


あの時、
部屋中に白い布が被されていた、あの時。 



無我夢中で走った。
早く、早く行かなきゃロボがいなくなるっ!

まるで体当たりの如くロボにしがみついた。
「うわぁっ!」
その勢いに持っていた缶が落ちる。

「……に、ニコ?」

ロボの呼掛けに声が出ない。ギュッと腕を掴んだまま、ロボの胸に頭を押し付けた。


今、今この手を離したらロボはまたいなくなってしまう…
そんな想いが更に掴んだ手に力を込めさせる。

黙ったままギュッと腕を掴んだ私にロボは何も言わず、そっと抱き寄せた。
そのロボのぬくもりに次第に『ロボは此所にいる』って実感が湧いて来て。
掴んだままの手から少しだけ、少しずつ力が抜けた。 

「ロボ・・・居なくならないで」

一瞬だけロボの身体が固まる。
多分・・・私が含めた意味を理解したんだろう。

「・・・だいじょうぶだよ、今はニコが傍にいてくれるから」


ロボの体温が私に染みこむ。



誰もいない、真夜中。
きらきら桜の花びらが舞っていた。


もうすぐロボに出会って1年目・・・・
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