doramaちゃんねる★色声機械メインです
セ/ク/ロ/ボ*ロボ/ニコ
キャベツ
「あ…動いた」
ニコが大きくなったお腹を微笑みながら撫でた。
その微笑ましい姿に俺の顔は緩んだ。
ニコと結婚して半年。
俺の努力の賜物の結果、ニコとの間に子供が出来た。
「最近調子悪いんだよね」
って朝食を半分残したままボヤいた。
「夏バテ?あんまり調子悪いなら病院行きなよ!」
「ん…、そうする」
そう返事したニコは『心配かけてゴメンね』って力なく笑った。
正直、真面目に仕事をしていられなかった。
目の前のパソコンには作りかけの契約書。今日中に仕上げなきゃいけないのに…。
その時。
机の上に置かれた携帯がメールが届いた事を告げた。慌てて携帯を手に取り、開いた。
“これから病院行くね。何かあったら電話するから。…ちゃんと仕事しなきゃダメだよ(`ε´)”
まるで見透かされたような内容に思惑吹き出してしまった。
携帯を閉じ、モニターに顔を向けた。
取りあえず今は仕事、仕事。
カチャカチャとキーボードを打つ音だけが耳に入った。
それから暫くして、再びメールの受信があった。
“なんか、検査しなきゃいけないみたい(;_;)”
「エェェェェッッ?!」
勢い良く立ち上がり、イスが音を立てて下がった。
ガシャンと反対側のデスクにぶつかる。
だけど今はそんなの気にしていられない。
「す…須藤、どうした?」
俺のあまりにもな行動に課長が声をかけてきた。
「あ…いや、その…。うちの家内が…」
ハッキリ言えば、仕事には全く関係ない、プライベート事。
だから課長に聞かれ、話すべきなのか躊躇った。
だけど、
「奥さん、どうかしたのか?」
あまりにも躊躇していた俺に課長は心配顔で聞いた。
だから正直に話す事が出来た。
最近具合が良くなくて、病院へ行ったこと。そして検査しなきゃいけないと言うことを…。
「す、すみません。思いっきりプライベート事なのに…
仕事続けますから」
イスを寄せ、座り直しモニターに向かう。
すると、
「須藤、契約書はどこまで出来てる?」
「え?…あと、1/3程で出来上がりますが、」
「じゃあ上がっていいぞ。残りは私がやるから」
課長の言葉に唖然とした。だけどふいに我に返り、
「それでは課長に申し訳ないです!最後まで仕上げてから…」
「いいから帰りなさい。そんな状態で仕事をされて、契約書に間違いでもされたら困るからな」
少しキツい言葉だが、
「奥さんも心細いだろうから、早く行ってあげなさい」
その言葉がどれだけ有り難かったか。
俺は課長の言葉に甘え、会社を後にした。
会社から病院までどんなに急いでも30分は掛かる。
やっと病院に着いてニコを探してキョロキョロしていると、
「ロボッ?!」
受付で会計待ちのニコが『なんで居るの』って呆れ顔で立っていた。
「検査の結果出たの?」
「ん~…まぁね」
帰り道、ニコの手を握り尋ねた。
「…で、どうだったのさ?」
「夏バテじゃなかったよ」
「え?悪い病気じゃないよね!?」
「違うよ、病気じゃなかった」
ニコが繋いだ手に力を込めた。
「あのね、妊娠2ヶ月だって…」
立ち止まり、少し頬を赤らめて微笑むニコ。
「え…それってまさか」
「赤ちゃん出来たの」
「赤ちゃん…赤ちゃん…」
その言葉の意味を理解する為に何度も繰り返す。
「すっ…凄いよ、ニコっ!」
ニコを抱き上げ、その場で回った。
「ちょっ、ちょっとロボッ!」
恐がって「きゃあきゃあ」声を上げて、ニコが首にしがみついた。
そしてニコを抱き上げたまま止まり、
「嬉しすぎて何て言えばいいのかわからないよ。でも、これだけは言える。
幸せをありがとう、ニコ」
「ロボ…」
うっすら涙を浮かべたニコが、
「妊娠してるってわかったときね、私もすごく幸せだったよ」
早く、
早く会いたいよ。
俺とニコの大切な宝物。
早く、
早く会いにおいで。
キミのパパとママは待ってるよ。
「…ん゛~っ…はぁっ、」
ニコの苦しそうな息遣いと唸りが廊下にまで響く。
時々聞こえる助産婦さんの掛け声。
「ニコ~」
俺は閉ざされた分娩室の扉の前でウロウロするばかり。
―――――そして、
「う、産まれたぁっ!!」
産声が響く。
やっと会いに来たんだね。
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