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T/R/I/C/K 上/田×山/田



ニブンノイチ




「おいっ!! 上田っ」 



へろへろで日雇いバイトから帰った奈緒子が部屋に入ると、当たり前の如く上田が鎮座していた。
奈緒子が大声で怒ったのは上田が勝手に部屋に入った事にではない。
彼の目の前…卓袱台に置かれた「もの」。
それは昨日の日雇いバイトの給料で買った、高級和菓子屋の芋羊羹。
たまには贅沢でも…と奈緒子が清水の舞台から飛び降りる勢いで買った大事な大事な芋羊羹。
それを… 


「あぁ、お帰り」
「お帰りじゃないだろっ! おっ…お前、何故それをっ」
怒りでぷるぷると体を震わせる奈緒子を不思議そうに上田は見た。そして「ぽんっ」と手を打ち、 

「これはyouのだったのか」 
「こ、この期に及んで何を言ってるんだっ!」 
あっけらかんとした上田に奈緒子が殴り掛かろうとした途端、

「you、そんなにたべたいのか?」

上田が残った一口分の芋羊羹に竹楊枝刺すと、向かってきた奈緒子の口へと入れた。

「んぐぅっ」

突然口の中に放り込まれ、軽く呼吸困難になった。 
ムグムグと顔を赤くしたり、青くしたりする奈緒子に対して見るに見かねて、
「ほら、お茶だ」
と上田が差し出した湯呑みを奪い取るように奈緒子は手にし、口いっぱいの芋羊羹を流し込むようにお茶を一気飲みした。
なんとか飲み込んだ奈緒子はガクリと膝を着いた。 


「あ…味わうのを忘れた」 

呆然としたままの奈緒子に、
「…今度買ってきてやるよ」
ぼそりと上田が呟いた。
途端、奈緒子の顔が満面の笑みでいっぱいになった。
「約束ですよ、約束っ。絶対ですよ、上田さんっ」
上田の手を握り力一杯握りしめた。
「えっと…明日っ。明日来てくださいよっ」
「youは…そうゆうことがないと自ら部屋へは呼ばないんだな」
「……そっ…そんなことは無いですよ」
と言いながら視線をそらす奈緒子。
「まぁいいさ。じゃあ、明日また来るよ」
上田が立ち上がり、玄関へと向かった。

「上田さんっ」

奈緒子が呼び止める。
「? なんだ」
上田が振り返ると、



「芋羊羹、半分だけあげますよ」



何故か真っ赤な顔の奈緒子に上田は苦笑した。







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