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セ/ク/ロ/ボ*ロボ/ニコ+α

*たまには…一緒に*

キリリク*らいと様

PHOTOby*RainDrop http://momo.raindrop.jp/

昨日、突然社長に呼び出された。
理由が、

「明日夕飯食べにいらっしゃいよ。
よっちゃんが作ってくれるから。それと手下の彼も連れてきなさい」

こっちが何も言えないまま、言うだけ言って電話を切られた。
押し当てたままの携帯からは『プープープー』と鳴り続けていた。
「どうしたの、ニコ?誰だったの」
テーブルいっぱいに並べたロボットの向きを変えては携帯で写真を撮っていたロボが、不思議そうな顔で私を見た。
「………社長が明日来いって」
「ふーん」
なんだいつものことじゃんって言いながら再び携帯カメラを構えた。
「ロボも連れて来いって。夕飯食べようって」
「はぁっ!?」
怪訝な顔でロボが私を見る。
「…怪しいよね」
こくりとロボも頷く。
「でも…行かなきゃ後が怖いよね…」
こくりと頷くロボ。
そして二人同時に溜め息をついた。


夕焼けがあたりを真っ赤に照らす時刻。
ここ、地蔵堂も夕焼けで赤く照らされていた。
ロボがドアをそっと開けて、顔だけ覗かせて、
「すみませ~ん…」
返事は何もないらしく、
「お邪魔しますよ~」
って言いながらドアを全開にして二人で入れば、
「いらっしゃい」
「「うわぁっ!!!」」
突然後ろからの声に二人で飛び上がった。
振り返ると嬉しそうに笑う社長が立っていた。

「いるなら、居るって言ってくださいよ」
ブヅフツと文句を言いつつ、出されたお茶を啜る。
ロボはなんだか怯えた様子でお茶を飲んでいた。
「あら、ふつうにお迎えしても面白くなじゃない」

なんでこの人は、しれっと言うかなぁ。

なんて思いつつ、今日呼び出された訳を聞いた。
「夕飯食べにって、突然何でです?」
「明後日、あなた達の誕生日でしょ。だからじゃない」
「明後日じゃなくて、今日?」
「当日は二人でするんじゃないの?」
少し驚いた様子で、私とロボを交互に指した。
「…」
「ほら、だから今日にしたのよ」
そう言って社長はいつものデスクへ着いた。そして引き出しを開け、
「はい。これは私からあなた達へ」
妖しげな紫色のラッピングに黒のリボン…なんだか辛気くさい。
でも折角のプレゼントだから…
社長から受け取ると、ロボがこそっと。
「爆発とかしない?」

「しないわよ」

私が答える前に社長がたばこに火をつけつつ、にやりと笑った。
(ひぃぃぃぃっ)
ロボの顔が引き攣った。
「あの、開けてもいいですか?」
「もちろんよ、どうぞ」
社長に了承を得て黒のリボンをゆっくり引いた。
ロボも『なんだろ』って顔でのぞき込んできた。
解けたリボンをロボに渡し、紫のラッピングを剥がせば、中から出てきたのは黒い箱。

「「………」」

見た瞬間悪い想像が浮かんでしまった。
開けた途端爆発するとか、煙が出てきて年をとるとか…
一緒にのぞき込んでいたロボを見れば、多分似たようなこと考えているんだろうなぁって顔。

「開けていいのよ」

動かない私たちに痺れを切らした社長が急かすように言った。
そこに料理を運んできたよっちゃんを見れば、意地悪な笑顔で『どっかん』って口パクしているし…
私は勇気を振り絞って『えいっ』と箱を開けた。


ぱんっっっ


「きゃぁっ!」
「わぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ」

小さな破裂音に悲鳴を上げてしまった。ロボはガタガタと震えて私の腕を掴んだまま。
箱からは破裂音と同時に紙吹雪が舞う。
私はロボが邪魔だったけど箱に向かって一吹き。
ふわっと残った紙吹雪が宙を舞う。
そして中から現れたのは腕時計がふたつ。

「素敵でしょ。アンティークものなのよ、それ」
しがみついていたロボも箱に釘付けのまま。
私はふたつの時計のうち、小さい方を手に取り、箱をロボに渡した。
ロボも箱から時計を取り出して眺めた。
「……着けてみていいですか」
「もちろんよ」
クラシックレッドなベルトに少し黒ずんだシルバーの時計。
ロボの方は、私より一回りばかり大きめで、ベルトが黒に近い青。それ以外は全く同じデザイン。
着けた時計をロボと私は見せ合った。
「ありがとうございます」
ロボががばっと勢いよく頭を下げた。
「ありがとうございます…」
続く様に私も下げた。
「気に入って貰えたなら、光栄だわ。…ね、よっちゃん」
「そっすね、よかったよかった。…さて、用意できたんでどうぞ」
振り向けば、テーブルいっぱいに並べられた料理の数々。
その真ん中には、2段構えの大きなケーキ。
てっぺんにはチョコのプレートにハッピーバースディの文字。

「うわぁぁぁっ、すっごーい、これ、よっちゃんが作ったのっ!?」
大はしゃぎのロボがケーキに顔を突っ込むような勢いで寄った。
「あったり前だろ」
褒められて悪い気はしない。なんだかよっちゃんも嬉しそう。
そんな光景を見ていたら…

「ニコ?」

顔を上げると心配そうな社長の顔が飛び込んできた。
私のばか。
こんなトコで泣いたら誰だって変に思っちゃうよ。
だけど。
一度流れ出した涙はなかなか止まらなくて。
「…あ、あれ、別に悲しくなんかないのに…」
「嬉しくても涙は出るものだわ」
ぽんぽんと撫でてくれた社長の手はすごく優しくて。
「さあ、席について。食べましょうよ」
肩を抱かれるように椅子へと促された。
「どんどん食べてくれやっ」





そう、


たまには…一緒に。




end

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