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千紫万紅 浅葱様より頂きましたvv


踊/る/大/捜/査/線 青/島×す/み/れ


A woman! Be ambitious



男と女と割り切られるのがすっごくイヤだった。
 
たいてい「お前は女だから..」とか「やっぱ女なんだな...」とか、そんな風にどこか下に見られるあの視線が悔しかったんだもの。
 
それはたとえ階級や立場が相手の男よりも女である自分が高い位だったとしても・・・やはりどこかそんなバカにしたような視線や態度で見られてしまう。
 
女だからって、バカにすんなよ!・・・そう私は踏ん張るしかなかった。そう言い聞かせるしか思いつかなかった。
 
 
 
 
 
A woman! Be ambitious
 
 
 
 
 
「そう言えば、聞いたかよ?交通課のあの新しく入った子・・・結構大きい失敗したらしいぞ?」
 
あふぅ・・・と思わず大きな欠伸を一つ周りを気にせずしていたら、私の後ろの方でそんな声が聞こえた。
エレベーターの狭い中、別に聞き耳を立てなくても聞こえてしまうのは仕方のない事で...だからと言ってそれほど気にする事はなく、回数が登っていく表示板をぼんやりと眺めていた。
 
昨日は遅くまで張り込みをしていたから今日は昼から出勤と行きたかったのだけれど、なんだか最近盗犯事件が多くてはっきり言うと練る暇さえない始末・・・そんな人手が足りない中、優雅にお昼から~なんて余裕をかましている事もできなかったから。
 
(・・・あぁ、もう・・・ホント眠い。眠くて眠くて・・・頭おかしくなりそう・・・)
 
疲れも取れない毎日だからぼんやりとそんな事さえ考えてしまっていれば、先ほどの会話がまた耳に入ってきた。
 
「えー?マジで?で、その子やっぱ処分受けたんだのか?入ったばっかなのに・・・バカだよねー?」
 
ピクンと思わずその言葉に反応した。
別に自分が言われている訳じゃないんだけど、なんだかカチンときたのは「バカだよねー?」の中に含まれている言葉の言い方。
明らかに「(女って)バカだよねー?」と言う含みがあった事に・・・少しだけムッとしてしまう。
 
「それがさ?そうじゃないんだってよ。なんか係長の前で大声で泣き出して謝罪したらしくて・・・それで始末書だけですんだらしいぜ?」
 
「嘘だろー?うわーやだねー・・・女ってすぐ泣けばすむと思ってやってんだろそれって?ずるいよなー実際・・・」
 
グッと唇を噛んで文句を言おうと振り向こうとしたとたん、チンッとエレベーターの扉が開いて・・・その会話はそこで終わった。
 
 
 
 
「・・・・・・」
 
黙々と始末書やらなんやらと書類を片付けていれば背後の席がギッと軋む音がした。
それと共に背後に感じた視線に、振り向きもせず「何」と憮然としたまま返事をする。
 
「・・・いや、なんかすみれさん機嫌が悪そうだから・・・」
 
声かけるかどうか迷っていたの・・・と声の主はガラガラと音を立てて私の顔を覗き込むように椅子を移動させるのがわかった。「どうしたの?」とすぐ隣で首を傾げる相手、青島君に私は「なんでもない・・・」と返事をするしかできなくて。
 
「・・・ふーん・・・」
 
そんな私に何かを含んだような返事をして青島君は、ポンポンとなぜか頭を撫でるように叩いてきた。
突然の事、と言うよりも今は機嫌が悪いそんな時に、何するのよと言いたげに睨みつけてやれば・・・当の本人はにんまりと笑って「お昼一緒にどう?」なんてつぶやいた。
その笑顔があんまりにも無邪気に見えたから・・・それ以上は何も言えなくて、でもなんだか悔しくて、
 
「もちろん青島君のおごりよね?」
 
そんな風に可愛くない事を言うのが精一杯だった。
 
 
 
 
湾岸署を出て近所のファーストフードの店に向かう。
「ファーストフードなの?」って文句を言ったら「給料日前だから」と苦笑していた。
大きな通りを歩いていればさっきよりかは気分も軽くなってくる気がした。多分外の空気を吸ったからだと思う。モヤモヤした空気が体から抜けて新しい空気が中へと入ってくれば、少なからずホッとする。
 
「・・・・・・」
 
取り合えず話す事も特にないから互いに黙って歩いていれば、ふと青島君と私の距離に気が付いた。
 
「・・・・・・」
 
背の高さだって、体型だって、青島君と私だったら間違いなく青島君の方が大きいのだけれど・・・私達は隣同士で歩いている。
 
足の長さだって、腕の長さだって、青島君の方が長いはずなのに・・・同じ歩幅で、同じ速度で歩いている。
 
「・・・どうして、同じなの...?」
 
ついそんな事をつぶやいてしまった。
女よりも男の方が一歩前へと歩いているイメージがあったからなのかもしれない、そんな風に考えるのは好きじゃないのだけれど実際の所そうなのだから仕方がない。
だからつぶやくつもりなんてなかったのに、思わずそうつぶやいたら隣の青島君が「へ?」っておかしな顔をしていた。
 
「...だから、どうして青島君の方が歩幅大きいはずなのに、隣同士で歩いているのって―――」
 
そこまで言って、なんだか恥ずかしくなった。そんなくだらない事気にしていたなんて思われてしまうと思ったら、恥ずかしくて分が悪くなって黙ってしまう。
青島君が私を不思議そうに見ている視線を感じれば、かすかにうつむいて「な、なんでもない・・・」と訂正するのが精一杯。
 
(こんな事気にするなんて、小学生じゃあるまいし・・・)
 
「・・・・・・」
 
互いに沈黙。それがひどく居心地が悪くなり始めた頃青島君が「うーん・・・」と小さくうなった。
顔を上げれば考え込むように腕を組んで。
 
「・・・な、何?」
 
「・・・なんだろう。確かに俺の方が歩幅大きいし、まぁ言われてみれば確かにすみれさんに合わせて歩いているかもしれないんだけど・・・」
 
「・・・?」
 
合わせているっていう部分にまた少しムッとしたけど、すぐに見せてくれた青島君の笑顔で・・・全部吹っ飛んでしまった。
 
くだらない事でムッとしていた事も、どうして?って思った事も・・・全部全部、青島君の言葉で―――まぁいいかって思った。
 
 
 
 
「・・・俺が先に歩いちゃうと前からしか守れないし、後ろに下がっちゃうと後ろからしか守れないだろ?」
 
 
 
「だってすみれさん俺にちゃんと守ってね?なんて言ってたじゃん・・・だから隣に歩いていたんだけど、迷惑だった?」
 
 
 
 
 
 
 
 
男と女と割り切られるのがすっごくイヤだった。
 
たいてい「お前は女だから..」とか「やっぱ女なんだな...」とか、そんな風にどこか下に見られるあの視線が悔しかったんだもの。
 
それはたとえ階級や立場が相手の男よりも女である自分が高い位だったとしても・・・やはりどこかそんなバカにしたような視線や態度で見られてしまう。
 
女だからって、バカにすんなよ!・・・そう私は踏ん張るしかなかった。そう言い聞かせるしか思いつかなかった。
 
 
 
 
 
 
 
 
でも、前言撤回。
 
男と女って割り切られるの、うん・・・そんなに悪くないかも。
 
 
 
END


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