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色声機械*62



人まであと、何センチですか?



a duplicate key




「じゃあ、むーちゃん明日ね」
携帯を閉じるとベッドに寝転んだ。
途端、開けっ放しの窓から様々な声が聞こえた。
『なに食べようか』とか『明日は試験だよ~』とか。
そして私はその声をぼーっと聞きながら、いつの間にか寝ていた。


「ニコ、本当にゴメンっ!!」
むーちゃんが両手を合わせて頭を下げた。
学校の帰り道に新しく出来た雑貨屋へ行ってみようと昨日約束したけど、むーちゃんのお祖父ちゃんの具合が悪くなったからとお見舞いに行く事になっちゃって。
だから当然の如く、その約束は中止。でもそれは仕方がないことだよと言っているのに、むーちゃんは申し訳なさそうに何度も頭を下げた。
「いいよ、むーちゃん。気にしないで。 ほら、早く行かなきゃ間に合わないよ」
そう言ってバスに乗り込む、むーちゃんを笑って見送った。 
出発したバスの窓越しに『ゴメン』って言うから、『ダイジョーブ』ってブンブンと大きく手を振った。
そしてその内バスは見えなくなって…

「…さて、どぉしよっかなぁ」
帰りは遅くなると言った手前、家には帰り難い。 
するとどーやって時間を潰すか…
って考えていたら、ふと『あのオタク会社員』の顔が浮かんだ。
「あ…。ロボんち行ってみよ」 

あれから何度か行ったし、学校から差ほど遠くはない。
それに時間も時間だから、もしかしたら着く頃にロボも帰って来るかもしれない。
そしたら夕飯を作ってあげよう。
きっと今日もお腹を空かせているかもしれないから。

『うわぁ~ん、ありがとうニコぉ~』
って涙を流して喜ぶ姿を想像してクスクス笑ってしまった。
「買い物してこ~っと」
私はロボんち近くのスーパーへ寄ることにした。


「ローボー…」
ロボの部屋のドアの前で呼び掛けても返事はない。
携帯を開いて時間を見れば、まだ5時を過ぎたばかり。
ロボの会社が何時に終わるかは知らないけど…流石にまだ帰ってないよね。
私はスーパーの袋をドアノブにかけ、階段に座った。暫くすると、カンカンカンと階段を上がる音がした。
「ロボッ!!」
パッと顔をあげると、階段をあがってきたおばさんと目があった。
「あ、すみません」
ロボじゃなかった。
おばさんは「うふふ」と笑いながら隣の部屋に入って行く。
私は恥ずかしくて顔を隠すようにうずくまった。
早く帰ってきてよ~、ロボぉ。 

何度願ったんだろう。
すると、
「あれ~、ニコ~?」
平和そうなロボの声が私の名前を呼び、
「どうしたのさ、こんなトコで~」
不思議そうに小首を傾げた。


「だったら電話かメールすればいいのに。バカだなぁニコは~」
…そうだった。ロボに言われて初めて気が付くなんて。
「うわぁ~、自己嫌悪」
1人悶々としていると、
「あ!そうだ。確かこの辺に~…」
ロボが何かを思い出した様に引き出しの中を探し出した。暫くして、
「あったぁー!!」
ロボが嬉しそうに近寄ってきた。そして私の目の前に銀色に輝くカギを出した。
「ニコにあげよう」
何故誇らしげ?
なんて思いつつ手を開けば、ポトリとカギが落ちてきた。ひんやりとした金属の冷たさが手に広がる。
「これで待ちぼうけしなくて済むでしょ~」
満面の笑みのロボ。
コイツ…合い鍵を渡すって意味分かってるのかな。

ってロボがそこまで考えるワケないか。 
だけど…
手のひらで光るカギを見ていると、
何だかくすぐったい気持ちでいっぱいになった。




ねぇ…私、少しは特別な存在になれたのかな?
 
 
 
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