doramaちゃんねる★色声機械メインです
色声機械*62
勇気を出して
勇気を出して
ロボの車の音が遠ざかっていく。
全く聞こえなくなるのを確認すると、そっと玄関のドアを開けた。
既に止んだ雨の匂い。
うっすらと月明かりがあたりを照らしていた。
「はぁ・・・」
小さく息を吐くと、玄関のドアを閉めお風呂場に直行した。
火照ったキモチが凄く恥ずかしくて急いで冷やしたかった。
バスタオルを巻いただけの姿のまま、部屋に入るなりベッドに倒れた。
大学卒業と同時に一海ちゃんは一人暮らしをするといい、この部屋も今では私一人。
最初はなんだか寂しくて、広く感じたけど。
「ロボ」
今は居ない人の名前を呼ぶ。
今更ながら自分の言い出したことが恥ずかしくなる。
だけどロボは・・・
思い出すだけでほんわかと心が温かくなる。
「すっごい、しあわせ」
枕に顔を埋めてグリグリと頭を押しつけた。
勇気を出して言った言葉。
どれだけの勇気を振り絞ったことはロボは知らなくてもいいの。
だって・・・
「長かったなぁ、ここまで来るのに」
最初ロボとなんとなく距離を置いていた。
すぐに連絡がとれる安心感だけで満足していた。
だけど、中学を卒業して高校生になって。
急に世界が変わったように、私の回りが変わっていった。
どんどん時間が過ぎて、連絡をしないまま時間だけが過ぎて。
その間に携帯も何度か機種変更したけど、決して消すことのないアドレスがひとつ。
『ロボ』
何年も連絡をしないアドレス。
いつもなら機種変する度にリセットするのに。
“消去”なんて言葉すら思いつかない。
大切な、大切な・・・・・
そう。
その時気がついた。
あの頃の私は、口では適当にしているつもりでも全てに一生懸命で精一杯で。
興味ないふりしていて、自分の恋なんて余裕すらなかった。
それでもロボと一緒にいるのは本当に楽しくて。
当たり前になっていた。
あの日までは。
今でもあのロボの部屋を思い出すだけで、心臓を締め付けられる。
真っ白い布の掛けられた棚。
夕日で赤く染まる部屋。
そしてロボは出て行った。
あの時、あの瞬間。
ロボは友達じゃなくなっていた。
でも子供の私は、ロボの傍にいたい一身で友達のふりをしていた。
違う。
自分に言い聞かせた。
私はまだ子供だ。
ロボは大人。
それはロボを困らせるだけだから。
私の淡い気持ちはそっと仕舞い込んだ。
「ニコ・・・だよね? 久しぶり、元気だった?」
ロボからの突然の電話。
途端、ロボの笑顔、怒り顔、泣き顔・・・全てが鮮明に蘇った。
そして同時に隠していたロボへの気持ちも溢れるのが解った。
あの日から私の恋が始まった。
もう、隠すことはない。
いつかロボに・・・・
いつかロボと・・・・
そして今日。
私は携帯のアドレスを開く。
ピッ・ピッ・ピッ・・・
表示されたロボのアドレスの名前を指でなぞった。
さっき別れたばかりの愛しい恋人。
声が聞きたくて、ゆっくりと発信ボタンを押した。
「もしもし、ロボ」
全く聞こえなくなるのを確認すると、そっと玄関のドアを開けた。
既に止んだ雨の匂い。
うっすらと月明かりがあたりを照らしていた。
「はぁ・・・」
小さく息を吐くと、玄関のドアを閉めお風呂場に直行した。
火照ったキモチが凄く恥ずかしくて急いで冷やしたかった。
バスタオルを巻いただけの姿のまま、部屋に入るなりベッドに倒れた。
大学卒業と同時に一海ちゃんは一人暮らしをするといい、この部屋も今では私一人。
最初はなんだか寂しくて、広く感じたけど。
「ロボ」
今は居ない人の名前を呼ぶ。
今更ながら自分の言い出したことが恥ずかしくなる。
だけどロボは・・・
思い出すだけでほんわかと心が温かくなる。
「すっごい、しあわせ」
枕に顔を埋めてグリグリと頭を押しつけた。
勇気を出して言った言葉。
どれだけの勇気を振り絞ったことはロボは知らなくてもいいの。
だって・・・
「長かったなぁ、ここまで来るのに」
最初ロボとなんとなく距離を置いていた。
すぐに連絡がとれる安心感だけで満足していた。
だけど、中学を卒業して高校生になって。
急に世界が変わったように、私の回りが変わっていった。
どんどん時間が過ぎて、連絡をしないまま時間だけが過ぎて。
その間に携帯も何度か機種変更したけど、決して消すことのないアドレスがひとつ。
『ロボ』
何年も連絡をしないアドレス。
いつもなら機種変する度にリセットするのに。
“消去”なんて言葉すら思いつかない。
大切な、大切な・・・・・
そう。
その時気がついた。
あの頃の私は、口では適当にしているつもりでも全てに一生懸命で精一杯で。
興味ないふりしていて、自分の恋なんて余裕すらなかった。
それでもロボと一緒にいるのは本当に楽しくて。
当たり前になっていた。
あの日までは。
今でもあのロボの部屋を思い出すだけで、心臓を締め付けられる。
真っ白い布の掛けられた棚。
夕日で赤く染まる部屋。
そしてロボは出て行った。
あの時、あの瞬間。
ロボは友達じゃなくなっていた。
でも子供の私は、ロボの傍にいたい一身で友達のふりをしていた。
違う。
自分に言い聞かせた。
私はまだ子供だ。
ロボは大人。
それはロボを困らせるだけだから。
私の淡い気持ちはそっと仕舞い込んだ。
「ニコ・・・だよね? 久しぶり、元気だった?」
ロボからの突然の電話。
途端、ロボの笑顔、怒り顔、泣き顔・・・全てが鮮明に蘇った。
そして同時に隠していたロボへの気持ちも溢れるのが解った。
あの日から私の恋が始まった。
もう、隠すことはない。
いつかロボに・・・・
いつかロボと・・・・
そして今日。
私は携帯のアドレスを開く。
ピッ・ピッ・ピッ・・・
表示されたロボのアドレスの名前を指でなぞった。
さっき別れたばかりの愛しい恋人。
声が聞きたくて、ゆっくりと発信ボタンを押した。
「もしもし、ロボ」
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