doramaちゃんねる★色声機械メインです
色声機械*6ボ2コ
願い事、叶うなら
願い事、叶うなら
カンカンカン
いつもの一定のリズムで階段を駆け上がる。
そして、
「ロボいるーっ!?」
これまたいつもの掛け声で部屋に上がり込んだ。
「もう、また勝手に入ってくるし」
怒ったふりしてロボが言う。
「いいじゃん、別に。・・・・ってなにこれ」
「え、ニコ知らないの?」
「いや・・・知ってるけどさぁ」
ロボの目の前には葉の生い茂った笹が横倒しになっていた。
そして、テーブルには小さな笹を括り付けたマックスロボと折り紙。
・・・・マックスはいらないだろ、その場合。
なんて思ったけどあえて口にはしない。
私は持ってきたバッグを置くと、冷蔵庫から昨日買ってきて入れておいたジュースを取り出す。
「ロボいる?」
「いるっ♪」
グラスに氷を入れ、ジュースを注ぐ。
「はい、ロボの分」
テーブルのマックスロボの隣に置くと、ロボがありがとと顔を上げた。
そして黙々と短冊飾りを作り出した。
私はテーブルを挟んだ反対側に座ると、暫く黙ってそれを見ていた。
ロボは時々にやにや笑ったり、しかめっ面したり・・・百面相してるみたい。
だけど時々ふと真面目な顔をする。
その横顔が『あぁやっぱりオトナなんだ』って納得できた。
・・・・やってることは子供なんだけど。
「あ☆ ニコも書いてよ」
突然ロボが私の目の前に短冊とペンを突き付けた。
「えぇっ?! わたしも」
「うん、ニコも♪」
満面の笑みを浮かべるロボ。
「・・・・仕方ないなぁ、ほら貸して」
ロボから短冊と、ペンを受け取るとグラス寄せてテーブルに並べた。
ま、取り敢えずは。
“家族が健康でありますように”
“一海ちゃんの合コンがうまくいきますように”
「ちょっと、ちょっとニコーっっ」
突然ロボが声を荒げた。
「な、何よ突然」
「それ、なんなのさー」
ロボが指をトントンと短冊に当てた。それは一海ちゃんの短冊。
「・・・・・まだ諦めないの?」
「ん、なにっ!?」
「別に~。それに、七夕に合コン行くって言ってたから。一海ちゃんが」
最後の部分を少し強調してみた。すると、ロボは短冊に。
“一海ちゃんの合コンが失”
って書き出した。だから慌てて取り上げた。
「ロボッ!! 男らしくないだろっっ」
私に怒られたロボは項垂れて小さな声で『ごめんなさい』と呟いた。
そのあまりにも情けない姿に、
「ほら、ロボ。出来たなら飾ろうよ」
優しく言いかけると、ロボはパッと笑顔で頷いた。
ロボと2人、横倒しの笹に短冊を結んでいく。そして、
「「出来たーっ」」
2人同時に完成の言葉を言いあった。
「じゃあ、ここに飾ろう」
そう言ったロボはベッドに上がり、窓を開け、飾った笹を括り付けた。
そして振り返ると親指を立て、腕を伸ばした。
夕焼けに染まった部屋。
ロボは疲れたのか、床に転がったまま寝ていた。
時々『むにゅむにゅ』とか寝言を言ったりして。
私は飾った短冊に手を伸ばした。
“マックスロボは永遠に不滅だ”
“今度こそ、高得点”
「・・・・・・」
なんとも言えない願い事が書かれた短冊に溜め息が出た。
ロボらしいといえばロボらしいんだけど・・・。
次の短冊に手を伸ばしたとき、ドキンとした。
“ニコとずっと一緒にいれますように”
きっと、深い意味はないのは解ってる。
だけど、その願い事に顔がにやけてしまう。
私は眠っているロボにチラリと目を向けた。
それからペンと一枚だけ短冊を手にした。
願い事は―――――
「じゃあ、ロボ。私帰るね」
「うん、じゃあまた」
すっかり日が沈み、ロボと夕飯の冷やしうどんを食べ終えて暫く経った頃。
ロボの部屋を後にする。
階段をカンカンカンと降りて、見上げるとロボが手を振っていた。
その横には笹が揺れている。
私はバイバイと手を振ると走り出した。
“私もロボとずっと一緒にいたいよ”
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