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書いてて、お題にそっていない気がしたのですが…。
そこはご愛敬で。


*voice6 我が儘*
 



私はすごく我が儘な生き物だ。



高校最後の夏休み。
特に家族で出掛ける事もなく。決まった予定も無い、寂しい夏休み。
だけど、ほぼ毎日ロボの家へ来ていた。
「毎日遊んでいられていいよね、ニコは」
なんて一海ちゃんに嫌みを言われるけど、遊んでいるわけじゃない。

ロボが会社に行ってる間に家の掃除をしたり、洗濯とか夕飯の用意をしたり…。
その間に夏休みの課題をしたりと、やることが結構ある。

だけど。
偶々昨日はむーちゃんと買い物へ行くことになって。
だから夕方ロボの家に行くからとメールをいれた。
ロボは、
『せっかくの夏休みなんだから、俺のこと気にしなくていいよ~。』
ってわざわざ電話してきた。


買い物も終わり、何処でお茶しよっかなんて言ってた時。
「へぇ~、スゴいね」
と聞き覚えがある声がした。
私は思わず立ち止まってしまった。隣にいたむーちゃんが、「どうしたの?ニコ」と不思議そうな顔をした。
なんでもないよと笑った時。視界の片隅によく知る人が入った。

ロボ、


…と女の人?

スーツ姿のロボの傍らには女の人がいる。
ロボは終始笑顔で身振り手振りで喋ってる。女の人もそれに合わせて話している感じ。 


…なんか気分悪い。


「ニコ…?どうしたの?」
突然無言で立ち止まったので、むーちゃんが心配顔で覗き込んだ。
「あ…、ん。なんでもないよ!
さて何処の店行こっか」
私はむーちゃんの手を取ると歩き出した。

一刻も早くその場から居なくなりたくて。


むーちゃんと別れた後どうするか考えた。このまま家に帰っちゃうか…。
だけどロボの家へ行くからと約束した手前…行かないわけいかない。
だから私は重い足取りでロボの家へ向かった。

「おかえりー、ニコ。夕飯まだだよね~」
先に帰っていたロボが笑顔で迎えてくれた。
それを見てたら、もしかしたらあれは見間違いだったかもなんて思った。

夕飯はロボが作ったオムライス。ロボが楽しそうにケチャップでデコレーションしている。
「はい。ニコの分」
目の前には『にこ』と描かれたオムライス。
「じゃあ、いただきマックス!」
2人同時に手を合わせた。
オムライスは美味しくて大きめだったけど、食べきった。
食後のコーヒーを入れようと台所へ向かった時、 

「そういえばさ、今週から新人を任されてるんだよね~」
「へぇ~、ロボが先輩なんだ。ちゃんと教えれるの」 

お湯を沸かしている間にドリップの用意をした。
「あ、またそうゆう事言う~」
少し拗ねた表情をしつつ、棚からマグカップを取ってくれた。
「それでね、女の子の新人で九条さんっていうんだけどさ、」

あ…まただ。

「…でさその子が結構ロボットに詳しくて、」

…気持ち悪い。

「あれ…ニコ?」
ロボが話の途中で心配そうな顔で私を見た。
あ…ヤバい。
涙が出そうになる。
見られたくないから誤魔化すように、
「牛乳あったかなぁ~」冷蔵庫を開けようと手を伸ばしたら、
「ニコ、泣いてるの?」
って手を掴まれた。私は見られたくない一心で、
「なんで?泣くわけないじゃん」
必死に強がった。だけどロボにはわかったみたい。
「やっぱり泣いてるー」
「泣いてないっ!!」
掴まれた手を離したくて力任せに振った。
だけどロボからは振り解けなくて。
「ニコ?」
悲しそうな顔のロボ。 


そんな顔しないで…
私はイヤな子なの…
仕事だけの付き合いとか頭では理解してる。

だけど…
それでも…


ロボの手は温かくて。
余計に自分が惨めになった。
普段大人びた事をしていても、やっぱり子供なんだ。

「私、今夜はやっぱり帰る」
「えっ、帰るって。ニコ!?」
慌てふためいてロボが手を離した隙に逃げる様にドアに手をかけた。
だけどロボに再び掴まれた。
「ニコ、どうしたのさ。何か…言いたいことあるでしょ?」
まるで子供に諭すように言うロボ。

私は子供だ。
ロボに嫌われたくなくて、大人のふりをしていた。
でも…

どうでもよくなった。

「…イヤなの」
はっきり言ったつもりだったけど、声がかすれていた。
「仕事だけのことだってわかるけど、
ロボが私以外の女の人と仲良くしてるのはイヤなの!」

あぁ、これはただの我が儘だ。
オモチャを欲しがって泣く子供と同じ我が儘。


ロボは何も言わなかった。
ただ泣きじゃくる私を優しく抱きしめて。


ロボは優しい。
だから知らず知らずに甘えてしまう。

はやく…大人になりたい。



*******
我が儘を言える相手こそ、心を許している証拠。
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ご無沙汰していて申し訳ありません;
珠さま

こんばんわ。まひろです。
とてもジメジメとした日々が続いていますが、お元気ですか?

ご無沙汰していて本当に申し訳ありませんでした;;そして、早速、さまざまな小説を拝読させて頂き、この「我儘」も拝見致しましたvv

ロボ、って、やっぱり大人ですよね(*^_^*)ニコの目の前での言動や行動を見れば、子供っぽい、本当にピーターパンの様な少年の様にも思えるのに、でも!真底では、ニコの心をすっかり包み込むことが出来る程の暖かな大きな心の持ち主なんだ、と珠さまの小説を拝見して更に感じました。
ニコ、は、無理に突然、「大人」にならなくても、少しずつ少しずつ、ロボに包み込んで貰いながら、「本当の大人」になればいいんですよね♪
だから、私も我慢せず、ロボにだけは飾らず、自分の気持ちを話して欲しいなあ、と思います。
 その気持ちを再び、認識させて頂きまして、有難うございます。どうか、これからも頑張って下さいませ!
まひろ 2007/08/01(Wed)22:20:35 edit
まひろ様
こんにちわ。コメントありがとうございます。
最近ジメジメしてますね。私が住んでる所は一応は避暑地と言われてますが、紫外線指数日本一だそうで…ってどうでもイイ話題でしたΣ(゚Д゚;
お忙しいのに来て頂けるだけで嬉しいです。それにいつもコメントまで。ホントに嬉しいです。「我が儘」気に入ってくださってありがとうございますvv 我が儘ってなかなか言えないと思うんですよね。心のどこかで遠慮しちゃってるというかで。だから心底信頼しあっているからこそ言えるものってあるかなと。その一つが我が儘だと私は思っています。親には平気で我が儘って言えるのと同じで、信頼してないと言えないですもの。
またお時間ある際に来てくださいね。
2007/08/02 10:34
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